研修に参加しました。
その中で私がとても勉強になった喪失感体験のグループワークを紹介します。。
喪失感を体験して介護に何が関係あるの?看取りに携わった時に感じる喪失感のことなの?と思いながらもグループワークは進んで行きました。
あなたの大切な人(名前で)、物(無形物、有形物)とにかくなくてはならない存在、物を10個書いてください。順番は関係ありません。私はこうき、みずき、むつこ、まえこ、健康、家、仕事、夢、車、お金と…家族や自分が生活して行く上で大切な人や物を10書きました。
講師より、自分の大切な10は自分の大切な物であって、隣の人と同じくなる事は絶対にありません。と言われ、私の長男は私の長男だし…家族や、所有物が同じになる事は確かにないです。
この中から1つ手放さなくてはいけません。一つ選んで消してくださいと言われ…そこから私の葛藤が始まりました。さすがに家族は消せない…車はなくてもバスや電車があるから大丈夫かな?車を消しました。講師は、「今消したものはなくなったら喜びではなく悲しみですよね、人生に影響はありますか?」と、車がなくなったら不便ですが、人生にと言われると…私はそれほどの影響はありません。
「残っている中より一つ消してください。」
私の大切なものは、一つ一つ消えていきました。
「では、となりの方と書いてある用紙を交換し、一つ消してください。」
隣の方の用紙には、女性の名前、男性の名前、家族と思われる名前が書いてありました。名前だけでは、お子さんなのか奥様なのか両親なのかわかりません。さすがに人物は消せず…趣味の大切にしている物なのでしょう、自転車と書いてある所を消して用紙を返しました。戻ってきた私の用紙からは「夢」が消されていました。「夢」消されたか~と思っていると講師より「あなたが大切にしている物は隣の人はどうでもよい、自分が大切なものがまわりが大切にしている物ではないので痛みが分からないから消せるのです、消される気分はどうですか?」と…。「夢」はかなり上位に入る大切な物だったのに隣の人にはわからないよね…。
私の大切なものは一つ、また一つ消えていきました。講師は「あなたらしさは維持できていますか?人生に絶望し始めていませんか?あなたのQOLは維持できていますか?」と…
そして最後に二つ残りました。息子と娘です。講師は「ではあなたの大切な物の中から一つ消してください」と続けました、さすがにもう消せない…。どんどん悲しくなり喪失感に打ちのめされていると、「あなたの大切な物が全部なくなったら、あなたの痛みはどのくらいですか?この痛みはどのくらいで消えますか?この喪失感の真っただ中にいるのは高齢者です。家も失い、趣味もできなくなり、親に死なれ、夫や妻に先立たれ、子供を失ったり、子供に施設に入れられ捨てられた気持ちになり、こうした気持ちでどうやってこの先過ごしていけばいいのか?」と、この喪失感体験の目的は、高齢者の気持ちになる事でした。グループワークの喪失感を引きずり暗い気持ではありましたが、講師の話の続きを聴いて救われたような気持になりました。
ある高齢者の話です。車イス生活になり入所先がなく老健を転々としていましたが、いつかは自宅に帰れると思い、それが心の支えでした。ある日、老健を退所しなくてはいけなくなり二人の息子達は本人には内緒でとても山奥の特養に入所を決めました。当日何も知らされずに、どんどん山の奥に車は進み、家に帰れると思っていたおばちゃんもさすがに気づいて、息子たちに捨てられると思いました。施設に着き職員の皆さんが「こんにちは、はじめまして」と挨拶しましたが、車から降りませんでした。職員に宥められ車を降り部屋へと連れていかれました。家も失い、子供に捨てられ生きていても仕方がない死のうと職員の目を盗み車イスで屋上へと行きましたが、2メートルのフェンス、私は死ぬこともできないのかと暗い屋上にいると職員に発見されお部屋へと戻されました。すると新人スタッフのAさんが訪ねてきました、「今日夜勤の佐藤です。よろしくお願いします。今日入所されたんですね?どちらからいらしたんですか?」おばあちゃんは30分近くいままでの経緯を話しました。話したせいか気持ちも少し楽になりその日は寝ました。何日かたち息子達はちっとも面会に来ません。ただ変わったことは新人職員の佐藤さんがおばあちゃんの担当になったこと。この新人職員はよくおばちゃんの話を聴いてくれました。おばあちゃんは新人佐藤さんが聴いてくれるのでいろんな話をしました。「裁縫の先生だったのですか?得意なんですね?お持ちのこの巾着も自分で作られたんですね。すごく素敵ですね生地もデザインも今度教えてください。」そう言いうと新人職員の佐藤さんは裁縫をやりたいという利用者を数人集めてくれました。そこからどんどん輪は広がり、地域の方も参加するようになりました。おばあちゃんは私を必要としてくれる人がいる事に喜びを感じ生きがいを見つけました。自ら率先し着なくなった着物や古着を息子達に持ってくるように頼み、リメイク裁縫を教えるようになりました。息子達も面会に訪れる様になりました。
高齢者の出来ないに支援し、問題を解決してあげるではなく傾聴し感情にアクセスする。「コーチング」自ら考え、選び、行動する事を支援する、相手のソリューション(回答・解決すること)について考えられるように問いかけをする。
コミュニケーションの大切さ「コミュニケーションで最も大切なことは言葉にされないことに耳を傾けることだとピータードラッカー(経営学者)は言いました。傾聴の秘訣ですね。
今回の研修は高齢者の気持ちになれ、「傾聴」の技術大切さ、そこから自分が介護職としてどのように利用者様と関わり、行っていくべき支援が明確になった「ステップアップ研修」でした。2回目も楽しみに期待しています。ありがとうございました。
講師:株式会社ふくなかまジャパン 眞辺一範氏
ブログ:佐藤美香子
0 件のコメント:
コメントを投稿